2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

其之九拾六

「よくやった」 短くそういって、その場に跪く男達を一瞥すると、徹の体に背を向けてその場を離れる。凛が相も変わらず徹の名を呼び続けるのを聞き流しながら振り返ると、智は再び口を開いた。 「そんでもって、今までご苦労だったな」 「は?」 すっと左手…

其之九拾五

「おい凛!聞こえてるか!」 智が何も言わないのをいいことに声を張り上げる。 「いまそっちがどうなってるかは分からないけど!耐えろ!絶対そっち行ってやるから!」 徹の顔はどこか笑っているようにも見えたが、対する凛はその瞬間、背筋が凍りつくのを感…

現実を知り、それと戦え

はい、例によって台詞の選択には大した意味もございません。さいきん長く語れる台詞が見つからなくってですね……。 ところで、明日の夜からそこそこの人数でスキーに行ってくるので、4日、あるいは5日まで更新できません。読んでくれている方には申し訳ないで…

其之九拾参

……… ………… …… 「おい、もういい」 徹の居る部屋の隣、凛と女の諸事を背中に立っていた智が窓の外を見ながら口を開いた。 徹のマジックミラーという読み通り、徹の側からは何も見えない窓も、智の側からは反対側で何が起こっているのかをはっきりと映し出して…

其之九拾弐

「智!智!」 朋ももはや徹には微塵の興味も示さずに窓をドンドンと叩く。いつの間にかナイフと鞭の両方を手にしていた智がそれに気付くのに数秒かかった。 「どうせもう時間も押してるでしょ?そろそろあっち、はじめてもいいんじゃない?」 (あっち……?) …

命令は唯ひとつ 「見敵必殺」 以上

オーダー オンリーワン サーチアンドデストロイ オーバー 命令は唯ひとつ「見敵必殺」以上 …とくに言うことはございません┏○ペコリ 見つけてなんとなく持ってきたやつなんで。なんていうかそうそういろいろかける台詞ってのは見つからないもんです。さて、昨晩…

其之九拾壱

大きく、目一杯に引き絞られたナイフを手にした右手が、まさに全力で突き出される。その刃先は深く凛の手の平にのめりこみ、鮮やかな血をそこに散らした。 『ああ!……ぐっ…!』 凛は刺突の瞬間に声は漏らしたものの、その後は無事でいる右の拳を握り締め、俯…

其之九拾

「…ん?なんだ、これ」 ふと凛の胸元に白く光るものを見つけて、彼女の長い髪を掴んでいた智の手が止まる。 「こんなもの、どうしたんだ?」 そういって凛の後ろ髪を書き上げると、首にも光る銀白色の鎖を引く。そこには前の年のクリスマス、徹が凛におくっ…

祝・スターウォーズバトルフロントⅡ発売!

もう一度言いましょう。祝・スターウォーズバトルフロントⅡ発売! 特に言うことも無いんですが、面白いです。お金に余裕のある人はⅠ、Ⅱセットで買ってください。 Ⅰとの一番の違いはやっぱりジェダイがつかえること。ライトセーバーをブンブン振り回しながら…

其之八拾九

『待たせたな』 窓越しのくぐもった声で智が凛に話しかける。先に向こうの部屋に入っていたのか、そのすぐそばにはあの女も一緒にいた。 いつの間に現れたのだろうか、先程まで何もなかったはずの部屋の隅にはナイフだの鞭だの、なにやら物騒で悪趣味なもの…

其之八拾八

「…さて、そろそろはじめるか」 徹と凛がそれぞれ目を落とすのを待っていたかのように智が切り出す。 「なにぶん俺には時間がないんでな。さっさとさせてもらうぞ」 「…どういうことだ」 徹がはっと顔を上げて智の横顔をにらみつける。 「なに、そのままの意…

君は可能性だ

いやあ、今日の部活帰り。途中の上り坂から前を走ってたクロスバイク(ロードレース用の自転車。舗装道に特化して軽量。タイヤの幅は細い。たぶん今日のは26インチか28インチ)とマウンテンバイク(マイ愛車。かなり重い。タイヤの幅はママチャリより若干太…

其之八拾七

(いつまで待たされるんだろ) 凛がつるされた部屋の中。彼女と背中の磔台以外には何もない。はじめこの部屋にいたあの女も少し前に出て行ったきり戻ってきていない。 別にこうしている事がどう、というわけではなかったが、ただ吊るされて待たされるという…

其之八拾六

「落ち込んでいる君に最高のプレゼントだ。どうしてあいつはお前にそのことをこれっぽっちも話さなかったと思う?朋が現れて自分が追い詰められる中、助けを求めてもよさそうだとは思わないか?」 「それは……俺に知られたくなかったから…」 (そりゃそうだよ…

『初め良ければ、かなり良し』

こんな時間にネットサーフィンしていて見つけたのがこの台詞。文章をそのまま引っ張ってくると…… 『終わり良ければ全て良し』などという格言は、小説の場合、適応されません。 『初め良ければ、かなり良し』です。 とまあこんな風に。ラノベを書くに当たって…

〜5〜

〜5〜 (時間をつぶせって言われてもな……) 厨房でもらってきたティーパックとポットを手に、真新しいカップの中に湯を注ぎこむ。その中に紙の包みから出したティーパックを沈めてやると何かが漏れ出すかのようにカップの中が赤く染まり、薄紅色の渦を描い…

其之八拾五

「さっきも話したとおり、俺はこの世界に入り込み、生物を作れるようにもなった。最初のうちはこの世界の管理、維持のために4人、そこのやつらを作ったんだが……」 そういって徹の後ろに控えている4人の男達を指差す。男達は皆跪いて頭を垂れていた。 「あ…

其之八拾四

格好のせいで分からなかったが、その声には確かに聞き覚えがあった。 「お前ら……!」 「さっきは世話になったね。随分疲れたよ」 語気を荒げる徹に、にっと笑ってみせる。そう、目の前の4人は、朋を追って徹を追い回したあの4人組だったのだ。 「何でこい…

平和は槍の先に得るもの

今日のタイトルにはたいした意味はありません。元ねたは映画ジャンヌダルク。このチョイスも気まぐれですし。なんとなくぴんと来たんで……。 さて、今日更新分でCubeがようやく第一章終了という感じです。さて、話の導入部分が終わったところでここらで少し、…

其之八拾四

「信じられないか?」 「わるいけど、な。現実離れしすぎてる」 真っ向から言い切る徹を智はちいさくせせら笑った。 「そういうやつに3人もあってる奴の言うことかねぇ?」 「……!」 (三人、だと?) はっとして立ち止まった徹は、すぐさま智に飛びついて…

其之八拾参

……… 二人が出会ったところからさほど歩いていないところ、不意に現れた流れ行くレンガの上で先に口を開いたのは智だった。そのレンガは規則正しく並べられたその陣形を少しも変えることなく、ただただどこか道の奥へと続き、流れていた。 「さて、まず聞きた…

なにそれ?

「『誰の言葉』?」 「『私の言葉』さ」 悩んだ挙句にガンスリでもって来ました。既出だったらゴメンナサイ。 いや、しかしですね。自分の言葉でこううまいことを言った時っていうのは妙にすっきりと気分がいいものです。まあ独りよがりな感情でしかないわけ…

其之八拾弐

…… ………… ……… どれほど経ったのだろう。身体の中を風が通り抜けていくような、爽快でありながら同時に気味の悪い感覚から開放されて、徹は僅かによろめいた。 (やばっ……) 反射的にすぐ前にあるはずの「電話ボックス」の壁に手をつこうと、すっと右手を前に…

其之八拾壱

粗いレンガで全面を覆われた牢獄のような部屋の中。中央に設けられた磔台に手足を括られて凛はいた。 ここまで彼女を連れてきたあの男は珍しくいない。何があったのかは知らないが、今横にいる女と話していた内容から察するに、またなにか妙なことを計画して…

学校での成績がよいからといって、社会で認められるとは限らない

特に選んだ理由があるわけでもないんですけどね。いまニュースで話題のあの人のこともあるしなんか良い感じにヒットしてるんじゃないかな、と。 本当はそこそこ書くこともあるんですが、今夜は酔った親父が帰ってきます。何分今学期の実力考査、今まで返って…

〜4〜

〜4〜 朝。さして広くもない部屋に一つだけ開いた部屋の窓、カーテンの隙間から都会の朝日が差しこむ。ほっそりと差し込んだその光は部屋の中をうっすらと照らし、部屋の壁にそって置かれたベッドを浮かび上がらせた。と突然、ベッドの上を完全に覆い隠して…

其之八拾

(………畜生) 何も考えられなかった。息は切れ、足は振え。男達の行方は知れず、凛はおろか朋の居場所さえ分からなくなってしまった。 (…帰ろう) 自転車から降りて徹は歩き出した。 これ以上ジタバタしてもろくなことがない。凛はともかくとしても朋の方は…

ジツリキ終わった〜!

ようやく終わりましたよ。これで期末試験までは心配事は一切なし。もちろん成績が悪かった時の親の機嫌を考えるとあんまり手放しに喜ぶわけにも行きませんが、とりあえずは一安心です。明日からはタイトルの台詞スタイルも復活させます。では、今日の分。

其之七拾九

(っと…まあこれでいいか) 夏の夜空。寒々とした―徹の部屋と比べればいい勝負ではあるが―冷房の効いたコンビニの中から程よく涼しい空気の中へ出てきた徹。その手には白い、ビニール袋が握られていた。 凛だって全く所持金が無いわけではないから何か食べて…

其之七拾八

同日 午後5時52分まだまだ明るい夕方の住宅街。時折買い物帰りの主婦や、自転車に乗った小学生が駆け抜けていく道。その真上を目にも止まらぬ速さでかけぬけていくものがあった。 「……」 (嫌になっちゃうな……。ここまで正確に道が分かるなんて) その長い髪…