2005-01-01から1年間の記事一覧

其之六拾四

同日 午後2時45分「どうも、失礼しまーす」 放課後、後ろを流れていく生徒達の足音に紛れて事務所の戸を開けると、徹は滑り込むように中に入り込んだ。 「あら、珍しいじゃない。春日君が迎えに来るなんて」 「こりゃあせっかく今日は晴れたのに、明日また雨…

其之六拾参

六月二十二日 午後0時15分珍しくすっきりと晴れたその日。いつものように教員室の相談室の中で芹山と徹は芹山の入れたコーヒーをすすっていた。 徹にとっては癪なことではあったがこれがまたなかなかいけるのだ。 「ま、何はともあれ一件落着、か」 「ん、ま…

大晦日〜♪

はい。もう新年まで2時間もありません。みなさん、大掃除はしましたか?お屠蘇は仕込みましたか?年越しそばの準備は出来ましたか?やった人はどっかり構えて除夜の鐘を待ちましょう。まだの人は開き直りましょう。僕?親に散々使われながらやらされました…

其之六拾弐

同日 午後9時51分「じゃあやっぱり凛も心当たりなし、か」 「うん……」 いつもより少し早く寝る仕度を整えた二人は、それぞれの布団にもぐりこみ、最後の小さな赤色灯の下で言葉を交わしていた。 「でも…これって相当まずいことなんだよね?」 「ああ、芹山以…

其之六拾壱

同日 午後1時32分(本当にどういうことだ?) 昼休みも終わりもうすぐ五限目も終わろうかというころ、頬杖をついてぼんやりと黒板を眺めながら徹は思案をめぐらせていた。 (俺があの話を聞いてからは3人の間で他言無用にしたはずだから……。誰かが例の噂を聞…

理屈なんてないさ

ただ俺がそうしたいからするだけだよまた自作です。いえ、次回作のキャラ設定を考えてたらふと思い浮かんだんで。まあ主人公の台詞ではないんですが。むしろ主人公に対する台詞ですかね。次の主人公は序盤、それこそ漫画みたいな理屈人間で考えてるんで。ま…

其之六拾

…… ………… ……… 「なっるほど…」 全てを聞き終えた後で、芹山は空になったカップを片手に天を仰いだ。 「そりゃずいぶんと重いな……」 「ああ…」 妙に神妙になった芹山につられて徹まで黙り込む。 「…でもさ。お前のご両親、ずいぶん簡単に許してくれたんだな。…

其之五拾九

同日 午後0時12分「失礼しま〜す」 「おお春日か。芹山先生が待ってるぞ」 午前中、睡魔と闘い続けた身体を引きずって教員室の戸を開けると、入り口そばの机から暢気な声がかかる。この一年間、ことあるごとに芹山の下に呼び出されたせいで、いまや徹は一度…

恋愛とは……

恋愛――患者を結婚させるか、あるいはこの病気を招いた環境から引き移すことによって治すことができる一時的精神異常。いや、特に意味はありません。たしかにその通りですね。ただ言い回しが面白いなあ、と思ったので引っ張ってきました。そういえば昨晩、そ…

其之五拾八

同日 午前7時53分しとしとと雨の振る中、校門をくぐってすぐの玄関で徹、凛、朋はそろって傘の雫をはらっていた。 「それじゃあ」 「はい。それじゃあまた放課後に」 ペコッと頭を下げる朋に片手をあげて応じると、凛を促して朋とは逆方向へ歩いていく。校内…

「実は私たち、結婚できないのよ」

「なぜ?」 「だって私はブロンドじゃないし……」 「かまわん」 「うんとタバコも吸うし……」 「いいよ」 「サックス奏者と暮らしているし……」 「許すよ」 「子供も産めないし……」 「養子をもらうさ」 「わかってないのね。(かつらをとり)俺は男なんだ!」 …

其之五拾七

同年 六月十九日 午前6時30分(……朝か) いまいちパッとしない日の光が差す窓の方に目をやりながら、むくっと凛は起き上がった。 皮肉にも朋のおかげで徹の両親公認の居候となったことで、凛は以前よりも確実にゆっくりと寝ていられるようになっていた。だが…

不幸に対する特効薬はありません。

ただ昔から退屈な忍耐とか、あきらめといった美徳があるのみです ねたに詰まったので適当に持ってきました。よって一言のつけようも無いわけなのですが……。 ほんと、最近ぱっとした台詞が見当たらないんですねえ。こまった。

其之五拾六

…… ……… …… 「……じゃあね。何があったか知らないけどちゃんと話聞いてあげなさいよ。それも先輩の仕事なんだから」 「はいよ」 お茶のセットと適当につまめるものを母親から預かると、後ろを向いて答えながらそれを机の上におく。 「それとあんた。いい加減に…

「これはね、戦争な訳ですよ」

「だったらなおのこと、引き金は考えてひかにゃならん」困った挙句にプライベートな会話の中から。後ろが僕で相手が一緒に遊んでた友達。その友達の家で、試験前に親と戦いながら(?)ゲームをするという話を聞き、僕が「まあある程度は折れるかなあ」とい…

其之五拾五

同日 午後4時30分「あ〜、それにしてもいい加減トレーニングだけってのにも飽きてきたな〜」 「しょうがないよ。この雨だもん」 一向にやむ気配を見せない梅雨の雨粒が降り続く中、徹と凛は肩を並べ、歩いて家路を進んでいた。 「まあそれもそうなんだけどな…

其之五拾四

六月四日 午前10時23分「……タリィ」 机の上に上体を伸ばし、教壇の上をからこちらを見下ろしてしゃべる芹山の顔を見上げながら、徹がぼそっともらした。 すっかり梅雨入りした都内はもうここ一週間毎日雨が降り続き、完全に伸びきっている徹のすぐ横、窓の外…

少女に与えられたのは

大きな銃と小さな幸せああ……なんか…もう……。タイトルに困った挙句に漫画の売り文句もって来ちゃいました。GUNSLINGER GIRLです。まあ漫画の中身をよくあらわしてはいますね。でもここであえてガンスリを持ってきたのには意味があるんです。それがGUNSLINGER …

其之五拾参

同日 午後9時00分住宅街はすっかり静まり返り、夜闇の中に街灯がうっすらと輝く頃。どこにでもありふれたアパートの一室に明かりがともった。 よくある家庭用の蛍光灯に照らされたワンルームのアパートの中は、質素でとってつけたような観はあったものの整理…

ええ確かに時間は見つかりませんよ

ああ年賀状が……。クリスマスもまだだってのになんだってんだ。まあどうせクリスマスなんてイブは部活で、彼女もいないから家族と過ごすことになるんですけどね。はあ…… …… さあ!年賀状かくぞ!

其之五拾弐

同日 午後5時11分「ん〜…相変わらず春と秋の練習はいいなあ。暑過ぎず寒すぎずって感じで」 「ですねえ」 「夏みたいに汗だくにならないからコートに寝ても問題なし!」 「そんなことありません!」 頭を突き合わせて点を見上げている裕行、徹、三原の三人に…

何をするにも時間は見つからないだろう。

時間が欲しければ自分で作ることだ。いや、もうホントにおっしゃる通りですよ。時間が無ければ作れ。すばらしいですね。でもそんな事ができれば苦労しないわけですよ。はあ…年賀状やらなきゃなあ。今年はまだ写真も絵も用意してないわけですが。

其之五拾壱

午後2時45分 テニス部室ガチャリ… 「いて!」 後ろでぼんやりとついてくる凛を気遣いながら扉を開けた途端、見慣れた黄緑色が視界を覆い、何かが思い切り徹の鼻面にぶつかった。 「なん……」 「ほら!いい加減にしなさい!」 「なんだよぅ。久々に来たんだか…

なんもないのです……

あふ、気付いたらこんな時間じゃあないですか!今日はもうホントに眠くて、タイトルを見つけてくることもできませんでした……。ご容赦ください。

其之五拾

五月八日 午前7時55分「ふぁ…、眠……」 朝の光をまんべんなく頬に感じながら、口をついてあふれるあくびを片手で抑えた。 ゴールデンウィークのあけた最初の月曜日。徹に限らず学校にはどこかのんびりとした空気が流れ、朝の眠気とも相まってあちこちであくび…

過去の否認は有害な態度である

現在と戦い、未来を創造するには、往々にして過去が最も有効な武器なのである。よく言われることですね。過去もひっくるめてその人だ、見たいなやつ。これに関しては特に語ることはありません。

其之四拾九

同日10時25分某有名忠犬像前、めまぐるしく人が行き来し、いくつもの話し声が重なりあうなか、一際周りの目をひきつける一人の少女が時計と睨み合っていた。 (遅いなあ、もう……) とっくに約束の時間を過ぎている広場の時計を見上げながらふうっとため息を…

毎日自分に言い聞かせなさい。

今日が人生最後の日だと。 あるとは期待していなかった時間が驚きとして訪れるでしょう。たしかにそんなもんかも知れませんねえ。でも……なんか疲れそうだなあ……。てか昨日もまた更新し損ねてごめんなさい。ガンスリ六巻発売日だったもんでそれを読んでたらす…

其之四拾八

4月29日 午前9時21分……ガチャガチャ………まだ一筋の光もない意識の奥で、なにか物音がした。……ドスッ…… (……なんだ?なにかが布団に乗った?) ドスンッ! 「ゲフウッ!」 不意に下腹部を襲った鈍痛に、徹の意識は急速に現実に呼び戻された。 「ほらぁ!さっ…

其之四拾七

同日 午前10時00分「えーッと……寝てる春日と逢隈は減点な。じゃあ今日はここまで」 二時限目の終了を告げる放送のチャイム音に、教壇に立つ教師が閻魔帳にペンを走らせる。 途端にがやがやと騒がしくなる教室の中でも徹は一向に起きることなく、静かな寝息を…