お題

14.飾り

件名:装飾 8:05 本文:神話の世界においては武器に限らず装飾品のような体につけるものはその持ち主の力の象徴とされる事がよくあるだよね 件名:Re:装飾 8:06 本文:朝っぱらから薀蓄送りつけてこないでくれる? 私達はそっちとちがってちゃんと朝礼もある…

13.紅

夏休みもあと数日で終わろうかという日の朝。 コンコン、と、テニスコートを眺めながらコーヒーを啜っていた栗原の耳に、事務のガラス戸を小突く音が聞こえた。 「ども、おはようございます」 顔を出したのは芹山。外はまだいささか暑いようで、最近は立てず…

11.隙間

「だからね、もういい歳なんだから、しかるべき距離感が必要だと思うわけだよ、適度な隙間というかさ」 夏の空、蝉の声、嫌味なほどに照りつける太陽。早くも浮かぶ汗を拭いながら、わめく男が一人。 「よく言うね。突然人の部屋にやってきたかと思ったらご…

10.光

「……」 「……」 「……暑いんですが」 「そう。夏だもんねぇ」 汗が、頬から首につたって枕に落ちる。 そう、確かに今は夏だ。汗のせいで多少朝の寝起きの気分がわるいのは致し方ない。 多少寝巻きがべったり肌に張り付いていようと。 多少、朝の日差しが、眩し…

 8.翼

ああ、なんと心地の良いことだろう。 両手を広げ、吹き付ける穏やかな風を感じながら、両の瞼を閉じて。 ざわめく青草の茂る丘の僅かに上空を、彼は文字通り飛んでいた。 体は、ちょうど翼が生えたかのように軽い。 降り注ぐ春の日差しは柔らかく、通り過ぎ…

9.水の巫女

ここのところ同じような夢ばかりを見る。それは毎朝、その日のこっちの予定なんかお構いなしでやってくるのだ。 気付くと自分が立っているのは絵本の中の様な野原。青々と茂る草の中に、鮮やかに写る白や黄、花の色。足元の地面の感覚も鮮明で、どこからかそ…

7、夜空

「星空なんて、久しく眺めてないわよねえ」 「ん、まあそうだね……って、どうしたの?」 「とくにどうってわけでもないけど……。なんとなくそう思っただけ」 「似合わないなあ……。最近部屋にこもりがちだったりした?」 「たく……、あんたみたいに気楽になりた…

4、薬 5、花葬 6、笑顔

「間違えて飲んだ薬のせいで死んでしまった恋人を花葬したその場所で、舞い上がる花びらの中に恋人の笑顔を見る男」 「……ひねりがないわね」 「難しく考えすぎても良くないと思うけど?」 「単純すぎるのもどうなのよ?」 「じゃあ、例えばどんなふうにする…

3、扉

「ドアの前を歩くのってなんか怖いんだよね」 「また唐突ね。どうして?」 「だってほら、ちょうど通り過ぎようとしたところで見計らったように扉が開いたり、空けたら目の前に玩具の蛇が吊るされてたり、足元に釣り糸が張られてて躓いた途端に頭の上に本が…

2、メロディー

「目病み女に咳男……」 「……ろくなこと考えてないわね、また。あんたが風邪でしかめっ面してみても渋くは見えないわよ?」 「でもほら、ひょっとしたら……」 「良い良い、やって見せなくて。あんたはそれこそたまねぎでも切って目頭押さえてたほうがお似合いよ…

一覧

1、喪失 2、メロディー3、扉4、薬5、花葬6、笑顔7、星空8、翼9、水の巫女10、光11、隙間12、キーワード13、紅14、飾り15、鎖16、眠り姫17、雷18、情緒不安定19、鍵20、時間21、剣22、春23、賢者24、荒廃25、謎解き…

1、喪失

「初めてやると、やっぱり辛い? アレは」 「そりゃあねえ。一瞬頭が真っ白になって、涙は出ないのに泣きたいような気分になって……」 「ふうん……」 「だから、日ごろからやっておかないとね、原稿のバックアップは」 「まあデータ飛ばすような失態やらかすの…