3、扉

「ドアの前を歩くのってなんか怖いんだよね」
「また唐突ね。どうして?」
「だってほら、ちょうど通り過ぎようとしたところで見計らったように扉が開いたり、空けたら目の前に玩具の蛇が吊るされてたり、足元に釣り糸が張られてて躓いた途端に頭の上に本が落ちてきたりするかと思うとさ……」
「……ホント、ろくなこと考えてないわね」
「誰のせいだと思ってるのさ! ……あ?」
「何回自分の部屋で他人の罠に引っかかれば気が済むのよ。ほら、早くしないと机の上の教科書の山が……あ〜あ、崩れちゃった」
「……」