2006-07-24から1日間の記事一覧

4-4

これはどうしたことだろうか、と、アルテメネは思う。 もうだめだと、何も出来ないと思ったのに、どういうわけか自分はかすり傷一つ負わずにこうしてここにいる。辺りを見渡してみればアレほどの瓦礫の山がどこにも見当たらず、あるのは再び、真の闇。そして…

4-3

「他愛もない。力の使い方も知らぬとは」 高みに立って、見下ろして、つぶやくようにポルセイオスは言った。眼下には、全てを押しつぶして、薄高い山になった瓦礫。目も当てられないほどにむごたらしく、腹に、胸に、大穴を明けていた四人の男の亡骸も、それ…

4-5

街の中でも一際高い塔の屋上、そこに二人の少女がいた。一人は、赤いマントに身をつつんだ茶髪の少女、朋。もう一人は、漆黒のドレスに身をつつんだ銀髪の少女、アルテメネ。血に濡れていたそのドレスには朋のうっすらと黒い手がかざされ、そのかざされたと…