読了

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

 「あなたのための物語」読了。やー……、長かった。これ一冊読むのに時間をかけ過ぎましたね、どう考えても。おかげで何をどう読んだらいいのか、途中からまるでわからなくなってしまった。メルクマールになりそうな要素はぼちぼち転がってるんですがねぇ。やっぱり定演初日なんかから読み始めるんじゃなかったです。
 以下、思ったことの雑記。
円環少女にもその気はあるけれど、長谷さんは、社会って言う生き物(らしきもの)が怖いんだろうか。少なくとも、社会を個々人とは別に動く奇妙な存在としてとらえている節はあるような気がする。
・サマンサの悲しい点は、「意味」に固執せざるをえない性格だったこと? いまそこにいる自分自身、主観的でファジーなものを認められない性質だった。おかげで、サマンサは人はそれぞれの物語を生きていると言い、現状は過去からの文化の慣性力に寄るものだと言った上、あまつさえ彼女は自分の行いと周りからの反応を当然の因果関係として捉えているにもかかわらず、彼女がすべての出来事はそうみえるだけで実は因果関係など持っていないという。そこが自分には理解できなかったわけだけど。それができれば、もう少し彼女は割り切れたかも知れないのに。
・ここまで多くを丁寧に長谷さんが語ろうとした根本原因はなんだろう。ただ死に面した人の精神的な救いを描くなら、もう少し短くても大丈夫だったように思えるのだけど……?
 まあ、こんなところ。少し積ん読とかサークルの仕事とか自分のプロットとかが落ち着いたらもう一回読みなおします。
 とりあえず今は、文学少女新刊読んで癒されてきます。